インフルエンザに家族がかかったらどうすればいい?家庭内感染を防ぐ方法も
11月ごろから流行り始めたインフルエンザも、現在はまさにピーク真っ只中!全国的にインフルエンザ注意報が出ているので、しっかりと予防することが必要です。
しかし、日ごろから手洗いやうがいで感染に注意していても、予防接種をしていたとしても、100%防ぐことはどうしてもできません。
家族がインフルエンザにかかってしまった場合、どう看病すればいいのか?
幼稚園や保育園、学校、職場は何日ぐらい休めばいいのか?
ほかの家族に感染させない方法は?
など、詳しく説明していきます。
インフルエンザの予防接種に関して詳しく知りたい人は、【子供にベストなインフルエンザ予防接種とは?今さら聞けない疑問も回答】の記事も読んでみてください。
家族がインフルエンザにかかったときの対処法
一般的に、インフルエンザは発症前日から発症後3日から7日間程度はウイルスを排出するといわれています。
自分はもちろん、家族へ感染の拡大を予防するために、下記のことに注意して看病を行ってください。
まずはマスク・消毒液・ビニール袋などを準備
まず、家族の誰かがインフルエンザを発症してしまったら、看病をする自分に移らないようにするのが大切です。
以下のものが家にあるか確認し、内容であればドラッグなどで急ぎ購入してください。
・マスク(ガーゼでなく不織布が望ましい)
・消毒液(スプレータイプでもウエットティッシュタイプどちらでも可)
・ビニール袋数十枚(スーパーなどでもらえる小さいナイロン袋)
不織布のマスクはガーゼのマスクに比べてフィルター性能が高く、感染予防効果も高くなります。鼻から顎の下まですっぽりと覆うように着用しましょう。
マスクはこまめに取り換え、表面を触らない
使用したマスクは1日で基本的には使い捨てますが、1日1回と言わず、インフルエンザの人と多く話をした際や、マスクの中に不快さを感じたら、こまめに取り替えるようにしてください。
インフルエンザにかかった人からの飛沫が多くついている可能性が高いので、廃棄する際は決してマスクの表面に触ってはいけません。
また、ほかの人が間違って触れないようにビニール袋に入れ、しっかりとビニール袋の口を縛ってから捨てるようにしましょう。
インフルにかかっている人も看病する人もマスクをつける
インフルエンザにかかっている人も、看病する人も、どちらもマスクを装着するのが理想です。
しかし小さなお子さんなどの場合、マスクを付けることを嫌がることがあります。
その場合は無理につけさせようとせず、なるべくインフルエンザにかかっている人からの飛沫を吸い込まないよう注意してください。
インフル患者が触れた部分を消毒する
消毒液はドアノブやスイッチ、テーブルなどからの接触感染を防ぐためです。
インフルエンザにかかった人の部屋から出てきたときには、まず手を消毒し、触れた部分も消毒してください。
異常行動による事故を防ぐ場所で安静にさせる
小さい子供や未成年者の場合、インフルエンザ発症後に薬の服用の有無にかかわらず、「異常行動」として精神や神経が高ぶってしまう人がいることが知られています。
発熱後数日以内、もしくは睡眠中に起こるといわれていますので、安静にする場所にも気をつけるようにしましょう。
マンションの高層階の場合 |
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・ベランダに面していない部屋に寝かせる ・玄関や全ての部屋の窓の施錠を確実におこなう(内鍵や補助錠がある場合はその活用も含む) ・窓に格子のある部屋で寝かせる(窓に格子がある部屋がある場合) |
一戸建ての場合 |
・上記に加え、できる限り1階で寝かせる |
異常行動による事故を防ぐために
極めてまれですが、異常行動の結果、転落等による死亡事故が起こる可能性があり、2009年4月から2017年8月までに、8件の報告がされています。
一般的に異常行動は薬の副作用というイメージですが、実は抗インフルエンザ薬が使用されていなくても起こすことがあります。
小さいお子さんや未成年者がインフルエンザと診断され、治療を開始してから少なくとも2日間は、異常行動による事故を防ぐために、自宅で1人にならないように注意してください。
ハイリスクグループの人は近づけないようにする
インフルエンザにかかってしまうと重症化したり、合併症を引き起こす可能性の高い人たちのことを、インフルエンザのハイリスクグループ(ハイリスク群)と言います。
家庭内での感染を防ぐためにも、下記に当てはまる人は近づかないようにしてください。
‣高齢(65歳以上)
‣小児(5歳未満)
‣妊娠中 ‣肥満
‣基礎疾患がある
‣慢性呼吸器疾患(喘息、慢性閉塞性肺疾患など)
‣慢性心疾患(先天性心疾患、冠動脈疾患など)
‣代謝性疾患(糖尿病など)
‣腎機能障害
‣免疫機能不全(ステロイド内服、T細胞性免疫不全など)
家庭内感染を防ぐ5つの方法
[1]看病する人を限定する
インフルエンザウイルスは、飛沫感染もしくは接触感染により、体内に侵入してきます。インフルエンザにかかってしまった家族は、まずほかの家族から隔離してください。
できれば看病する人を1人に絞り、ほかの人はできる限り部屋の中にも入らないようにしましょう。
先ほど少しお伝えしましたが、インフルエンザにかかった人と看病する人はもちろん、家族もできる限りマスクを着用してください。
マスクはウイルスの侵入は防げませんが、インフルエンザにかかってしまった人から飛沫の飛び散りと、飛び散った飛沫をほかの家族が吸い込むことは防げます。
[2]石鹸での手洗いを徹底する
外出して帰宅した際の手は、キレイに見えても実はとても汚れています。外出して帰宅した際に石鹸で手を洗うだけでも、ウイルスの感染予防と除去に有効なのです。
ハンドソープなどを販売している「LION(ライオン株式会社)」が、社員に対して「通勤後の手の汚れ」を測定した結果があります。
「清潔である」(食事をしても安心なレベル)が1,500以下であるのに対し、「通勤後の手の汚れ」は7,022。帰宅時の手は「公衆トイレ入り口ドア内側の取っ手」よりも汚れが多いことがわかりました!
また、アメリカで報告された学会のデータによると、手洗いを“水洗いだけのグループ”と“石けんを使ったグループ”に分けたところ、水洗いだけのグループは石けんを使ったグループの3倍の人が風邪や肺炎にかかったと出ています。
家族にインフルエンザ患者がいる場合は特に、外から帰ってきた時には石鹸で手を荒い、しっかりと手に付着するウイルスを洗い流すようにしてください。
[3]使用するタオルは分け、寝室も共有しない
手を洗ったときのタオルは共有せず、1人ひとり分けるようにしましょう。
吐息の中にもウイルスは含まれているので、普段は一緒に寝ているという兄弟や姉妹も、寝室を分けるようにすることをおすすめします。
部屋の事情でどうしても分けることが難しい場合や、小さなお子さんがインフルエンザになり、お母さんと寝室を分けられない時には、2人が並ぶときには頭と足の位置を入れかえ、顔同士がなるべく近づかないようにすると、感染リスクを下げることができます。
[4]食事場所(食卓)を分ける
マスクをしたり、寝室を分けたりしているのに、誰かがインフルエンザになるといつも家族中で感染してしまう・・・という場合、食事を一緒にしているのが原因かも知れません。
ある小児科の先生は、「同じテーブルで食事をすると感染を広げることもあるので、インフルエンザに発症したときの食卓は分けたほうがいい」と伝えています。
食事中に話をすると、飛沫が相手のご飯に飛んでしまうことが多くあります。そのご飯を口にした人は、飛沫感染してしまうということなのだそうです。
体調が良くなってきても、発症から子どもで7日間、大人で5日間は感染させてしまうリスクがあります。その期間は、食卓を一緒に囲まないようにした方が安全です。
[5]清掃や消毒を徹底する
インフルエンザにかかった人が使用していた部屋や物は、毎日しっかり清掃や消毒をするのがおすすめです。その場合、下記に気を付けて行うと安心です。
消毒場所や物 | 消毒方法 |
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部屋の床 | 濡れたモップやぞうきんで拭き掃除。 消毒薬で拭き取ると効果的。 |
ドアノブ・スイッチ・手すり・テーブル・イス・トレイの便座 など | 消毒薬で拭き取る。 |
パソコン・電話など水濡れNGなもの | 揮発性のアルコール製剤などで消毒。 |
食器類 | 通常の洗浄でOK。 熱水消毒をおこなうのも効果的。 |
衣類・シーツ など | 通常の洗濯でOK |
清掃や消毒後には、石鹸による手洗い、または手の消毒をおこなってください。
インフルエンザの家族を見守る注意点
インフルエンザの治療や薬を服用した後でも、症状が変化して重篤化することもあります。
次のような症状が現れたら、すぐに医療機関を受診してください。
小児の場合
- 手足を突っ張る、がくがくする、眼が上を向くなどのけいれん症状がある。
- ぼんやりしていて視線が合わない、呼びかけに答えない、眠ってばかりいるなど、意識障害の症状がある。
- 意味不明なことを言う、走り回るなど、いつもと違う異常な言動がある。
- 顔色が土気色や青白い色になっていたり、唇が紫色をしている。
- 呼吸が異常に速かったり(1分間に60回以上)、息苦しそうにしている。
- 呼吸音がゼーゼーする、肩で呼吸をする、全身を使って呼吸をするといった症状が見られる。
- 「呼吸が苦しい」、「胸が痛い」と訴える。
- 水分が取れず、半日以上おしっこが出ていない。
- 嘔吐や下痢が頻繁に出てしまう。
- 元気がなく、ぐったりしている。
成人の場合
- 呼吸困難または息切れする。
- 胸の痛みが続く。
- 嘔吐や下痢が続く。
- 3日以上発熱している。
5歳以下はインフルエンザ脳症にかかることも
インフルエンザ脳症とは、5歳以下、特に2歳以下の子どもに多く発生する、インフルエンザを発症した後に病状が急に悪くなる病気です。
年間200~300人にインフルエンザ脳症が発生し、重篤化すると死に至ることもあります。
インフルエンザの症状に加え、呼びかけに答えないなどの意識障害、意味不明の言動、持続性のけいれんといった症状が現れます。このような症状がみられたら、すぐに医療機関を受診してください。
また、強い解熱剤によりインフルエンザ脳症がより重症化することがあります。インフルエンザ時は特に、解熱剤の使用については必ず医師に相談してください。
インフルエンザ脳症における異常言動・行動の例
インフルエンザ脳症による異常行動、意味不明の行動とは、以下のような状態を言います。
お子さんの状態をよく確認し、少しでも異常や不安があれば医師の診察を受けてください。
【異常な場合のサイン】
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登園や登校、出勤はどれくらいで再開すればいいか
子供の場合は発症から5日間はダメ
参考資料:シオノギ製薬より
子供の場合、学校保健安全法の施行規則第19条において、インフルエンザ(特定鳥インフルエンザ及び新型インフルエンザ等感染症を除く)にかかった場合の出席停止期間の目安が決まっています。
基本的には「発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日(幼児にあっては、3日)を経過するまで」は、学校や園への出席停止期間としています。
また、出席停止の期間は各学校や園により定められていたり、かかりつけ医の出席承諾書などの提出を定めていたりすることもあります。詳しくは、各学校や園に問い合わせてください。
大人の場合は自己判断
成人の場合は、出勤再開に関して法律などで特に決まりはありません。
しかし、先述のとおりインフルエンザは発症後5~7日を経過しても、鼻やのどからウイルスを排出している可能性があります。
発熱等の症状がなくなっていても、他の人を感染させることがあるので、外出の際には注意してください。
社会的な常識としては、発熱がなくなってから2日目までが外出自粛の目安です。業務上可能であれば、発症した日の翌日から7日を経過するまで出勤を自粛することが望ましいです。
会社によっては、インフルエンザ時の出勤停止期間を設けている場合があるため、こちらも総務などに問い合わせてみてください。
まとめ
注意して予防していても、インフルエンザにかかってしまうことはあります。
もし家族がインフルエンザにかかってしまったら、しっかりと看病すること、ほかの家族に感染させないようにすることが大切です。インフルエンザが流行する季節は、マスクは大めに、消毒液なども用意しておくと安心です。
小さい子供の場合、インフルエンザが重篤化したり、異常行動を起こしてしまう可能性もありますので、様子を観察し、少しでもおかしいと思ったら、かかりつけ医に早めに受診するようにしてください。