働くママの強い味方!病児保育とは?

公開:2019.03.22 更新:2019.04.25

「今日は大事な会議がある!」「先週もお休みしたから会社を休みづらい…」など、子どもが急に体調を壊してしまっても、会社を休めないことってありますよね?

そんなとき、ママを助けてくれるのが「病児保育」です。

ここでは病児保育とは何か、病児保育に子どもを預けるためにはどうすればいいのか、詳しく説明します。

病児保育とは

一般社団法人全国病児保育協議会によると、以下のように定義されています。

病児保育というのは、 病気にかかっている子どもにこれらすべてのニーズを満たしてあげるために、 専門家集団 〔保育士、 看護婦 (士)、 栄養士、 医師等〕 によって保育と看護を行い、 子どもの健康と幸福を守るためにあらゆる世話をすることをいいます。

※これらすべてのニーズ…身体的、精神的、社会経済的、教育・倫理・宗教的にも、子どもにとって最も重要な発達のニーズ
※文章は一部抜粋しています

つまり簡単に言うと、病児保育とは、病気の子どもを専門家集団が保育・看護してくれることになります。

病気になった子どもを預かってくれる

子どもが体調不良の場合には、基本的に保育園や幼稚園(以下:保育所)では、子どもの預かりを断られます。

体調不良の目安としては、37.5℃以上の発熱をしている子どもという定義があります。

熱は37.5℃までないとしても、下痢がひどくて脱水症状が心配される場合、明らかに顔色が悪い、いつもと様子が違う、などの理由でも、保育を断られてしまいます。

さらに、やけどや骨折などの外傷疾患などでも急な体調変化が見込まれる場合には、保育を断られてしまう時もあります。

親からしてみれば大丈夫…と思っていたとしても、保育所では家庭での安静を希望するケースはかなり多くあるのです。

病児保育であれば、看護師や医師など専門家が居るので、病児を預かってくれます。

注意!回復期の子どもは預かってもらえない

病児保育は、健康回復への兆しがまだ見られない病児のみが利用対象者なので、「熱はないけど登園させるのはまだ心配…」という子どもは、基本的に病児保育の利用対象外です。

インフルエンザや水痘(みずぼうそう)、ノロウイルスなどの感染症の場合、発病している期間であれば預けることが可能ですが、出園停止期間は預けることができないのです。熱などの症状が治まり元気になった出園停止期間中の子どもは、病児保育に預けることができません。

ただし、病児保育では預かってくれない回復期にある子どもに関しては「病後児保育」に預けることが可能です。病後児保育に関しては、次の項目で詳しく説明します。

「病児保育」と「病後児保育」の違い

  • 病児保育の対象…「回復期」に至らない病児
  • 病後児保育の対象…「急性期」を過ぎて「回復期」にある病児

「病児保育」と「病後児保育」との違いは、簡単にいうと「病気中」か「病気が回復傾向にあるか」です。

「病児保育」は、発熱や下痢、骨折などの病気の子どもを預かってくれます。しかし、まだ登園できる状態でなくても、症状が治まった子どもは利用対象外になります。

病児保育の対象外であり、かつ回復期の病児を対象とするのが「病後児保育」です。

病後児保育に預けられる症状

  1. 風邪や下痢などで急性期を経過したものの、保育所には連れて行けない
  2. 水痘、風疹等の感染性にかかり、医師から登園許可は出ているものの、体力の消耗などで保育所に連れていくのが心配な状態
  3. 喘息などの慢性的な病気で、発作は治まったけれど、保育所に連れて行けない
  4. 骨折、やけどなどの怪我で、症状が回復しても保育所には連れて行けないようなとき
  5. その他医師が回復期にあると判断した状態

たとえば「下痢は治ったけど顔色が悪く元気がない」「熱は下がったけれど登園させるのは少し心配」というときに利用できます。

施設によって預けられる症状は異なる

病児保育施設では、水痘、風疹、インフルエンザなどの感染性、嘔吐を伴う場合などに、子どもを預かってくれるとしています。

しかし、無条件で病児を預かってくれるのは、隔離室を完備している病児保育施設です。隔離室を持たない病児保育施設は、特定の疾患の児童の受け入れをおこなっていないこともあります。

また、麻疹(はしか)、流行性角膜結膜炎(はやり目)など、感染力が非常に強い病気に関しては、受け入れ対象外としていることがほとんどです。

まずはお住いの自治体にある病児保育・病後児保育を行っている施設を確認してください。

病児保育・病後児保育を併設している施設であれば、隔離室を完備している場合や、多様な症状の病児を受け入れてくれます。

施設利用状況によっては断られる場合も

上記に病後児保育対象となる症状を説明してきましたが、症状に当てはまるからといって、必ず預かってもらえるとは限りません。

施設利用者が多ければ、残念ながら断られることがあります。

病児保育や病後児保育を利用したいと思ったら、すぐに電話で問い合わせてください。

全国病児保育協議会の施設一覧表には、施設名や電話番号が記載されています。参考にしてください。

→全国病児保育協議会加盟施設一覧表

病児保育の施設種別は大きく3つある

病児保育を行っている施設には、次のような3つの型があります。

医療機関併設型 医療機関が運営している施設
保育所運営型 保育所が運営している施設
単独型 企業やNPO法人など、さまざまな団体が運営している施設

医療機関併設型

メリット
  • 医師の診察をすぐに受けられる
  • 利用時には翌日の利用申込も優先される
デメリット
  • 定員がいっぱいでキャンセル待ちが多い
  • 事前の利用登録が必要な場合がある(事前利用登録)
  • 医師連絡票が必要な場合、預ける前に医師の診察も必要になる

医療機関が運営しているため安心して病児を預けられます。しかし、施設数が少なく、予約が取りづらいところが多いです。

保育所運営型

 

メリット
  • 子供が急病になった場合、保育所が運営している病児保育にそのまま預けることができる
  • 子供が病児保育に移ったとしても、預け先変更の電話をするだけでいい
  • 慣れ親しんだ保育士さんに診てもらえる
デメリット
  • 保育所を利用している子どもが優先されるため、外部の利用者は預けにくい

保育所運営型の多くは、「病児のみを預かる保育所」ではなく、「病児も対応可能な保育所」です。

つまり、元からその保育所を利用している場合、病気になっても保育園から自宅に帰宅させてほしいなどの要望がないため、保護者は慌てて病児保育を探す手間が省けます。また、子供も慣れ親しんだ保育士さんに診てもらえるので安心です。

ただし、保育所を利用している子供が優先されるため、外部の利用者では予約が取りにくいといえます。

単独型

メリット
  • 延長などの融通が利きやすい
デメリット
  • 医師が常駐していないので、受診が必要な場合、提携医院での受診が必要

医療機関運営型や保育所運営型などでは延長するのは難しいですが、NPO法人や企業が運営している単独型の場合、多少の延長なら融通が利きます。

しかし医師が常駐していないので、預けている間に急に症状が悪化し診療が必要になった場合には、提携している診療所での受診が必要になります。

提携医院まで子どもを連れて行くのは保育所がおこなってくれるので、親が付き添わなくてはいけないわけではなく、仕事を抜けたり早退したりしなければならないことはほぼありません。

病児保育の2種類の預け方

上記では、基本的に病児を診てもらう方法として、施設に預ける“託児型”を紹介してきました。実は、病児保育には自宅で見てもらう“訪問型”もあります。

【病児保育の2種類の預け方】

施設託児型 病院・保育所などに併設された専用スペースで、看護師や保育士が一時的に病児を保育
自宅訪問型 業者から派遣、または個人のシッターが、自宅へ訪問し病児を保育

それぞれのメリットとデメリットも紹介します。

施設託児型

メリット
  • 自宅訪問型と比べると安価 (1日2,000円~3,000円)
  • 病院や保育所に併設されているところが多く、安心して利用できる
デメリット
  • 病児保育施設が少ないため予約が取りづらい
  • 保育時間が短く、延長は難しい。お迎えのために仕事を早退しなければならない可能性がある

自宅訪問型と比べて安いのが魅力ですが、施設数が少ないのがデメリットです。

また、保育時間が短いところが多いので、18時以降も勤務がある場合には、早退しなければならない可能性があります。

自宅訪問型

メリット
  • 自宅で保育するため、子どもが安心して過ごせる
  • 病気の子どもを無理に移動させなくて良い
  • 前日の夜や当日など、突発的な予約でも手配可能な場合が多い
  • 保育所からの呼び出しにも対応してくれる
デメリット
  • 施設託児型に比べて費用が高め(1日2,000円~30,000円)
  • 自宅に訪問してもらうため、掃除や必要な物の準備など受け入れ態勢を整えておく必要がある
  • 事前の登録申請や入会金が必要な場合がほとんど

自宅訪問型は登録者のみ利用できます。そのため、事前に登録をしておく必要があります。

利用を検討している場合は、子供が病気になる前に登録をしておくと安心です。

認可施設と認可外施設の違い

病児保育には認可施設と認可外施設の2種類があります。認可を出しているのは各自治体です。

認可施設
  • メリット
    料金が安い
  • デメリット
    認可施設の数が少ないので予約が取りづらい
認可外施設
  • メリット
    比較的空きがあり予約が取りやすい
  • デメリット
    料金が高い

病児保育利用の参考シミュレーション

病児保育の料金は、施設ごとによって異なります。

そこで、ママエル編集部のある京都に実際にある病児保育の料金を調査してみましたので、参考にしてください。

利用料金は施設によってバラバラ

  認可施設a 認可外施設A 認可外施設B
登録料 不要 2万円/年 500円/初回利用時のみ
利用料・保育料 2,000円/1日 500円/30分 600円/1時間
食費(昼食+おやつ) 300円
※給食支給(持ち込み不可)
※アレルギー食対応可
500円
※弁当持参可
※アレルギー食対応可
持参
8時間利用した場合の利用者負担額 2,300円 8,500円
(登録料除く)
4,800円
(初回利用料除く)

認可施設aの場合

どれだけ長時間預けても、発生する施設利用料金は1日分の固定料金です。ただし、利用料とは別に、食費(昼食+おやつ)として300円が発生します。

認可施設aの場合は給食が支給されるので、弁当の持ち込みは不可です。なお、アレルギー食にも対応しているので、除去食が必要なお子さんも安心です。

また、これは私の経験談ですが、「今日はこういった給食ですが、お子さんは食べられますか?」など、細やかな対応をしてくれます。

認可外施設Aの場合

年間登録料に2万円の費用が発生しますが、いつでも予約なしで利用できます。保育所へ入所して1年目などの病気を貰いやすい時期には、非常にありがたい施設です。

ただし、30分で500円の保育料なので、仮に8:30~16:30の8時間を預けた場合、保育料は8,000円/1回と高額です。

また、利用料に加えて食費(昼食+おやつ)として500円が必要です。

給食は離乳食やアレルギー食にも対応しているので安心です。持ち込みも可能なので、その場合には食費は必要ありません。

離乳前の子どもの場合、冷凍母乳の持ち込みも対応してくれます。

認可外施設Bの場合

施設への登録料として、初回利用時に500円がかかります。

1時間で600円の保育料が加算されますので、仮に8:30~16:30の8時間を預けた場合、保育料は4,800円/1回です。

また、昼食とおやつは全て持参なので、忘れずに持って行く必要があります。

利用料の減免制度あり!

生活保護世帯や、市町村民税(市民税)または所得税非課税世帯には、利用料の減免制度があります。

減免制度の申請方法

減免制度を利用する方法には、各自治体で減免申請の事前登録が必要な場合と、病児保育実施施設にて直接指定の書類を提示する場合があります。

自治体で減免制度の利用方法が違うので、各自治体のホームページを確認するか、電話で問い合わせてください。

減免制度利用の際の提示書類

世帯の区分によって提出書類が異なります。

減免区分 提出書類
生活保護受給世帯 ・生活保護受給証明書
市民税非課税世帯 ・市民税非課税証明書
・当該年度分(4~6月の利用については前年度分)
所得税非課税世帯 ・前年分源泉徴収票(1~3月の利用については前々年分)
・納税証明書

上記以外でも、自治体によって添付書類として認められているものがあります。お住いの自治体のホームページで確認してください。

減免制度利用時の注意事項

  • 病児保育の利用申請時に書類提出をしないと減免不可
  • 食事や延長利用料などは減免対象外

施設利用申請時に証明書の提出がない場合、利用料を減免してもらうことができません。忘れずに持参しましょう。

食事などの実費や延長利用料、キャンセル料については、減免の対象外です。減免制度の対象範囲は、あくまでも利用料のみなのでご注意ください。

まとめ

子どもが病気になったとき、どうしても会社を休めない親に代わって、病気の子どもの保育をしてくれる強い味方、それが病児保育です。私も3人の子どもがおり、何度もお世話になっています。

「病児保育」と言っても、病児保育施設によって、預かってもらえる症状や利用方法、料金などが異なります。子供が病気になる前から、自分が住んでいる自治体の病児保育施設情報を調べておくと安心です。

病児保育を選ぶときには、①料金②施設の種別③場所④利用時間の4つのポイントをチェックし、比較検討すると、自分に合った病児保育施設を選びやすくなります。

病児保育を利用している私の重視ポイントは「②施設の種別>④利用時間>③場所>①料金」です。ぜひ参考にしてくださいね。

この記事を書いた人
ママエル編集部
「多くのママが笑えるように、エールを送りたい」という思いからママエルを立ち上げました。 私たちは頑張るママの味方です。

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