幼児から始める英語教育に弊害はあるの?子供の将来への影響は?
2020年度(2021年)から始まる英語教育改革にともない、小学校で英語学習につまずくことなく楽しく始められるよう、小さい頃から英語に触れさせてあげたいと思う保護者が増えています。
一方で
「幼児のうちから語学学習をして、将来どのくらい使えるようになるのか」
「母国語の日本語に差し支えは出てこないのか」
と疑問を持つ人もいるでしょう。
ここでは、子供たちにとって幼児の英語教育に弊害はないのか、幼児のうちから英語を学ぶメリットは何か、そしてどのよう習わせてあげるのがいいのか、まとめました。
「うちの子の英語教育はどうしよう…」と迷っている方の参考になればうれしいです。
幼児の英語教育における弊害
「英語を習わせるなら小さなうちからがいい」というのを聞いたことはあるけれど、同時に「まだ語学力のない幼少期からスタートして、何か弊害となるものはないのかな?」と思いますよね。
では幼児の早期英語教育に関して、どういうデメリットがあるのか、紹介しましょう。
日本語の上達が遅れる可能性がある
結果から言うと、母国語である日本語の上達が遅れる可能性はあります。
幼少期にはまだ日本語が完全に発達していません。
ですから、ただ単に英語学習の時間を増やすだけでは、子供を混乱させたり、日本語学習をあやふやにしてしまったりすると、日本語の上達に遅れが出ます。
今すぐに英語と日本語両方を話さなければいけない状況(日本と外国の2重生活をしているなど)を除いて、これから学ぶ目的が「将来のための英語教育の基盤」なのであれば、小さいうちの英語教育はあくまで楽しく、英語に触れられる環境づくりだという前提が大切です。
日本文化学習も子供たちには必要
幼少期から始める早期言語学習に反対派の意見の中には、「日本文化学習ができないまま外国文化を教えることにつながるのでは?」という意見もあります。
将来英語が話せる、世界で通用できる社会人になってほしいと願うのであればなおさら、日本人として忘れてはいけない日本の文化も合わせて学べる環境を作ることを忘れないでおきたいですね。
継続しないと効果が薄い
子どもの英語学習をどう捉えるかにもよりますが、「ペラペラに話せるような語学習得」が目標となる場合は、英語学習を継続しなければなりません。
幼児は大人に比べて、まだ脳が柔軟で日本語が確立されていない分、文法などを気にせず教えられるがまま受け入れることができたり、間違いを恐れることなく積極的に発言できたりするため、大人よりも言語の吸収は速いです。
ですが忘れるスピードも速いため、日常生活をほぼ日本語で送っている子どもたちが2、3年の間、週に1度英語学習したくらいでは、バイリンガルのような英会話ができるようにはなりません。
週に1度の英語学習であれば、就学時までに英語に慣れ親しめ、ネイティブの英語に抵抗なくそして楽しく、学校の英語に移行できるレベルだと思ったほうがいいでしょう。
費用がかかる
英語習得は継続しないと効果が薄いので、その分費用がかかるのも弊害の1つです。
たとえば子どもの英語学習が月に1万円だとしましょう。
1万円×12ヶ月=年間12万円、2歳からスタートして、小学校での英語の授業が始まる小学3年生まで続けるとしたら、7年間ありますので、年間12万円×7年間=84万円にもなる計算です。
これに加え教材費や教室までの交通費などもかかりますので、大きな費用が発生してしまいます。
楽しめないと英語嫌いになってしまうかも
子どもにバッチリ合った学習方法であったなら、とても楽しく続けられて高い効果が得られるでしょう。
ですがもし合わなかった場合、対処の仕方によっては英語自体が途中で嫌いになってしまうかもしれません。
楽しく英語に慣れ親しんでもらおうと思って始めた英語なのに、嫌いになってしまってはせっかくの学習の意味がありません。
子ども本人が学習の場や先生、内容になれるまではもちろんのこと、経過もしっかりとチェックして、しっかりとサポートするようにしましょう。
幼児から受ける英語教育のメリット
これまで幼児の英語学習の弊害についてお話ししてきましたが、英語教育を幼少期のうちから始めるのにメリットもたくさんあります。
まだ言語力が完全にできていない時期にスタートするからこそのメリットをみてみましょう。
耳が自然と英語に慣れる
私たち人間は、生まれたときから周りにいる大人が話している日本語を毎日聞いているうちに自然と日本語を身につけてきました。
それだけ幼児は耳から音を吸収する能力が優れているということです。
そんな時期に外国語である英語をたくさん聞き、慣れることで耳は自然と英語を英語として聞き取れ、理解できるリスニング力を身に付けられます。
英語が好きになる
英語に苦手意識を持つ多くの人が「英語が聞こえると耳にフタをしてしまう…」と言います。
これは、ネイティブの英語や外国人に慣れないまま、とにかく単語と文法を暗記して、教科書と辞書にハイライトを引き必死に覚えたというような勉強法をしてきたことが原因の1つです。
つまり英語に楽しい思い出がないのです。
それを回避するために、これからの 子どもたちには幼児の頃からたくさん英語の音や、英語を話す外国人に親しみを持ってもらって、英語がわかる楽しさ、伝わるおもしろさを感じてもらうことがとても大切です。
そうすれば、英語が好きになり英語習得の近道となるでしょう。
子どもの自信になる
小さいうちから楽しく学んできた英語は正しい方法で続けていれば、英語がある程度身についていることでしょう。
小学校3年生になっていざ英語の授業が始まったとき、今まで英語に触れる経験がないお友達と違って、自分には知っていることがたくさんあったり、簡単に理解できることがあったりします。
それこそが子どもの大きな自信へとつながり、「自分はできる!英語って楽しい!」と発展していくのです。
資格が取れる
幼児から英語学習を取り入れると、早い段階で英検やTOEFLなどの資格を取得するための試験を受ける機会も増えます。
英語教室によっては、教室を通して試験の応募ができたり、特別な対策を取ってくれたりとサポートが充実しているところもあるでしょう。
1つでも多くの資格を持っていれば、子どもたちの将来の選択肢がそれだけ広がりますし、試験という場慣れをするいい機会にもなりますので、小さいうちからどんどん挑戦してもらいたいですよね。
小学3年生から英語の授業が開始
文科省が発表した2020年度から変わる英語教育では、今まで小学5年生から始まっていた英語の授業が3年生から開始されることになりました。
小・中・高で英語の授業が増える
今回の英語教育改革では、小学校3年生から教科書は使わず英語に慣れ親しむための「活動型」授業が始まり、5年生からは成績がつく「教科型」として英語を学ぶようになります。
さらに中学・高校でも英語の授業時間が増え「将来の日本人の英語力をアジアでトップクラスに」という目標を掲げ、取り組まれていきます。
大学入試でも英語の「聞く・話す」技能が重要視される
大学試験でも大きな変化があります。
今までのセンター試験に代わって、2020年度からは「大学共通テスト」がおこなわれます。
これまでの英語の試験では「読む・書く」の2技能が主に評価されてきましたが、今後はその2つに加え「聞く・話す」の計4技能が重要視されるようです。
上手に幼児に英語を習わせるコツ
小さな子供たちに英語を楽しく続けさせるには、どう習わせるのがいいのでしょう。
英会話スクールなど、教室での授業は先生にお任せするのが一番ですが、実は上手に幼児に英語を習わせる「コツ」があるんです。
どれも家庭でサポートできることばかりなので実践してみてください。
ママ自身が楽しむ
教育熱心な育児をされるのは良いことだと思いますが、そんな気持ちが先走ると「楽しく英語を学ばせる」ということを忘れてしまいそうになります。
子どもと一緒に英語を学ぶときは、ママ自身が笑顔で楽しそうにすることが大切です。
そうすると「ママが喜んでいるから英語を学ぶことはきっと楽しいことなんだ」と、子どもも自然と英語を好きになってくれるでしょう。
毎日英語に触れさせる
「単語を1つ1つ確実に覚えさせなきゃ!」と意気込み、テキストやワークブックで勉強させようとするのはNGです。
もちろん英会話学校などから出る宿題は、家でしっかりとしてほしいのですが、それ以外はとにかく「英語に触れさせる」時間を増やしましょう。
毎日覚えさせようとするのではなく、あくまで自然に毎日英語に触れられる環境を作ってあげましょう。
聞く…車やお風呂の中では英語の歌をかける
見る…テレビ番組は英語のものをかける
言う…一緒に歌を歌ったり、簡単な本を読んだり、目に付いた英語を発音する
たくさん褒める
家にある食べ物や日用品、街に出かけた時の看板などに英語表記があれば「あれってなんて書いてあるの?」と聞いてみてください。
もちろん、子ども本人がすでに知っている言葉というのがキーポイント。
PenでもEggでもBookでも、とにかく簡単な単語をチョイスして訪ねてください。そして答えられたら「○○ちゃん本当にすごいね!よく知っているね!」と褒めましょう。
幼少期の子どもは何ごとも、褒められることで急激に成長します。
またクラスではどんなことをしたのかを聞いたら「次のクラスでまた新しいことを習ったらお母さんに教えてね!」という言葉も忘れずに。
幼児の英語学習にはモチベーションをキープするのが大切なカギです、しっかりサポートしてあげましょう。
勉強をしたくないと言われたら
まだまだ小さいうちは、この間まで楽しそうにやっていた英語学習も、その日の気分なのか、または飽きてしまったのか、もうやりたくないと言い出すこともあります。
そんな時は無理をさせず、少し息抜きをしてあげましょう。大人でも息抜きは必要なのですから、子どもにだって息抜きは必要です。
「じゃあこれは明日やろう」と約束をして、今日は英語のゲームなどの遊びや、テレビ鑑賞に切り替えるのも1つの手です。
明日になってもまたやりたくないと言われたときには、「昨日約束したよね。だからこれをやってからまた一緒に楽しいことをしよう」と持ちかけてみてください。
勉強したくないというときは、英語ができる・できないに関わらず、誰にでもあります。
ですからそんなときは「お母さんも一緒にやるから頑張ろう!」と一緒に乗り越えましょう。
まとめ
幼児からの英語教育に関して、弊害はあるのか、反対にどんなメリットがあるのかお伝えしました。
確かに、日本語がまだ完全ではない幼少期に英語を習わせることで、日本語の上達が遅れる可能性があったり、長い期間続けないと効果が薄いため費用がかかったりという弊害もあります。
ですがその一方で、やはり耳からの吸収力が優れている幼少期だからこそ身につけられる柔軟な英語力で、将来に大きな期待が持てるのも事実です。
ですから、幼少期から英語学習をさせてあげたいなと思われている方はぜひ、上手に学習してもらうコツを取り入れて、子どもが楽しく英語に触れられる時間をとってあげてほしいです。
そして1人でも多くの子どもたちが英語を好きになり、得意になってくれたらうれしいなと思います。